ノルウェイの森
思えば、20歳になる前に小説の主人公と同じ位の歳で初めて読んだ。
初めて読んだ時は、そんなに感動も関心もしなかった事を覚えてる。
その時は、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』や『羊をめぐる冒険』
の方が面白く感じたし、世界観にどんどんのめり込んでいったんだよね。
その二つの小説は、今でも好きだけどさ。
でも、歳を重ねるにつれて『ノルウェイの森』の物語の奥底に流れる、
手に入ったかと見える希望がするっと指の間から流れていってしまうような、
なんとも言えない切なさが、今は理解できるし、
実際何度も読み返してしまうのである。
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それに、あの物語を映画にしてどの位忠実に、あるいはかけ離れた映画が出来上がるのか、
興味はある。
実際、監督のトラン・アン・ユンの映画の『青いパパイヤの香り』と『夏至』はいい映画である。
(『シクロ』は未見)
東南アジア特有の、普通は不快に思える湿気に満ちた映像を、
逆手にとってアジア的な甘美な映像に変える事に成功している。
作品に出ててる家具なんかも、見どころです。